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1月26日オーストラリアデイは「ギョーザの日」

2016年1月31日


オーストラリアでは、1月26日は「オーストラリアデイ」という祝日、建国記念日のような日である。これが1月最後の週末なので、振替休日がくっついてロングウィークエンドになったり、飛び石連休になったりする。この日が終われば、子ども達の夏休みも終わりで、翌日辺りから学校がはじまる。だからこの週末は、「最後だから、うんと楽しもうぜ」という雰囲気だ。


夏なのに、雨が多くて寒い。


オーストラリアデイの起源は、そもそも1788年1月26日に、イギリスからアーサー・フィリップ総督を乗せた船がシドニー湾に到着し、その旗を立てた日ということである。これが、現在のオーストラリアという国家の始まりということになっている。


もちろん、こういう日をこの国の起源にすることに異議がある人は山ほどいる。大体オーストラリアは、イギリスの流刑地としての植民地で始まった訳であるから、アメリカみたいに、イギリスと袂を分かった人たちが、理想の土地を求めてやってきて住み始めたのとは訳が違う。大体、流刑地だったなんて、かっこう悪過ぎる。


それに、オーストラリアに元々住んでいた先住民であるアボリジニの人たちの立場はどうなるのか? イギリス人に土地を奪われ、 荒野に追い立てられて、イギリス人の牧場を横切っただけで銃で撃たれたり、踏んだり蹴ったりの200年だった。だから、アボリジニの人たちの中には(加えて、アボリジニじゃない人でも)この日を「侵略の日」と呼ぶ人たちもいる。


我が家を侵略してきたエキドゥナ(ハリモグラの様な有袋類)


それに、これまでの200年間には、イギリス人から始まって、いろいろな移民がオーストラリアにやってきている。ドイツ人、ギリシャ人、イタリア人、ロシア人、ポーランド人、ウクライナ人、オランダ人、ユダヤ人、中国人、ベトナム人、日本人、イラク人、アフガニスタン人、ソマリア人、何だっている。こうした人々の立場はどうなる?


イギリスからだって、1901年に独立しているわけだし、今さら、オーストラリアがイギリスの植民地だなんて思っている人はないだろう。それなのに、イギリスの植民地としてオーストラリアが始まった日を未だに祝っているのはしっくりこない。かなりアナクロ的だと言ってもいい。


だが、国家の起源や建国記念日を、その時代ごとの風潮に照らし合わせてしょっちゅう変えてしまうのも大変だろう。第一、1月26日のオーストラリアデイが無くなったら、夏休みが1日か2日短くなってしまう。そうなったらもっと大変だ。だから、難しいことをごちゃごちゃ言うのは止めて、バーベキューでもして、夏休みの最後の一日を楽しみましょう、というのが大勢の姿勢である。かく言う僕も、そんな一人である。あまり政治的になって、せっかくの休日なのに頭痛持ちみたいな顔で過ごしたくない。




夏なのに寒くて薪ストーブをたいてしまった。


じゃあ、今年のオーストラリアデイは、何をして過ごしたかと言うと、餃子を作って食べて過ごした。息子鈴吾郎(りんごろう、13歳)の同級生のお母さん達が「餃子の作り方を教えてちょうだい!」と言ったからだ。息子らは、しょっちゅう我が家で餃子を食べている。餃子は、鈴吾郎の大好物だから、我が家では週に一度は作って食べている。たまたま遊びに来た友達も、だから餃子を食べる機会がある。で、余った餃子は冷凍にしておき、鈴吾郎は学校へお弁当に持っていく。だから、我が家の餃子は、この辺りではかなり有名なのだ。


だから、オーストラリア人の子どもらも、「うちでもギョーザ作ってよう!」とわめくはめに。ところが、お母さん達は、我が家の餃子を食べたことがないし、作り方も分からない。


それに加えて、今、オーストラリアではちょっとした餃子ブームが起きている(今ごろ?ってな感じですが)。日本で餃子ブームがあったのは、もう随分前だから、その伝播の速度が如何に遅いか良くわかるだろう。オーストラリアなんて、そんなもんである。しょせん地の果て、南半球の離れ島なんである。


餃子の他に、ラーメンも大ブームになっているが、ヨーロッパ、北米でラーメンブームがブレークしてから2、3年はたって、やっとブレークしている。 それくらい、オーストラリアの人たちは遅いのだ。いつも流行に乗り遅れている。(ちなみに、ユニクロも無印も、ようやく昨年あたりようやくメルボルンに進出したが、まだ知名度はそれほど高くない。これからである。)


だから、そんなメルボルンには、今さらのように餃子屋がタケノコのように芽を出しているし、スーパー等でも冷蔵、冷凍の餃子が出回り始めている。だが、餃子は高値で希少である。贅沢品の範疇に入るかもしれない。だから、うちの近所の人たちは餃子が食べたくてしょうがない。


そこで、「よっしゃ、それほど望むなら餃子の作り方をお教えしましょう!」ということになって、2家族(プラスうちの娘の友達三人)が集まった。我が家も入れると、総勢12名ほど。けっこうな人数だ。餃子の皮は200枚程用意した(足りるかな?)


ところが、蓋を開けてみると、このメンバー、いろいろな食事制限やアレルギー持ちがいて困った。これが現代オーストラリアの問題である。例えば、ニッキーというお母さんは、消化不良を起こすのでタマネギ、青ネギ、キャベツや白菜がだめ。グレースちゃんという娘は、小麦粉をはじめとしたグルテン質がだめで、卵ダメ、味の素みたいな調味料なんか食べたら死んじゃう。娘の友達、 21歳のお嬢さんのケイティは、ビーガンのベジタリアンだから、肉はもとより、魚や乳製品、卵も食べない。


もう、いったいぜんたい、 どんな餃子を作ったらいいわけ?と、僕は思わず叫んでしまった。でも、うちのカミさんは、そういうのにとても慣れている人なので、「だーいじょうぶ、だーいじょうぶ、まかせておいて。あんたは、焼き方だけ教えれば良いから」と言う。


かくして、餃子教室を行ったのだが、どうにかなるもんだ。結果として、以下のような餃子ができた。


1)春雨、豆腐、ひじき、ニンジンとショウガ入り餃子、

2)青ネギ、春雨、豆腐、キャベツ、鶏肉ひき肉の餃子(ただし、皮は米粉の春巻きの皮)

3)牛豚の合い挽き肉と、ネギ、キャベツ、ニンニク、ショウガとシソが入った餃子。




鉢植えのシソ


僕は、餃子の焼き方を指南した。「まず、フライパンを熱くしてから油をたっぷりひきます。それから餃子を並べて入れて、コップに半分くらい水を足します。それで、蓋をして蒸し焼きにするのがコツですよ」てな具合。小麦を水に溶かして、かけ回すと焼き上がりがぱりぱりになる。これも、やってみせる。


餃子を蒸し焼きにすると言う感覚が、オーストラリア人にはなかなか分からなかった様子であるが、別に難しいことじゃないので、みんなすぐに上手に焼ける様になった。


味の方は、どれもけっこう美味しかった。僕としては、ベジタリアンのひじきの餃子がけっこう好み。オーストラリア人のお母さんたちは、餃子の具(餡と言うのかな?)をかなりぎゅうぎゅうにつめたので、かなり太めの餃子となったけど。これってオーストラリアっぽい?


彼女たちの感想は? 「思ったよりも簡単だった!」、「こんなに餃子をたくさん食べたの初めて!ゲップ」、「フェタチーズとカボチャなんか入れても美味しいかもね!」


中学生男子の感想は?「けっ、ベジタリアンの餃子なんか食えるかよ。肉が入った餃子が一番うまいに決まってるじゃん!」



とにかく、良かった、良かった。


と言う訳で、オーストラリアデイに餃子というのは、新しい伝統なのかもしれない。



中学生男子である息子がクリスマスプレゼントにくれた手製の木槌と手彫りのスプーン(木箱も手製)

これは嬉しかった。

 
 
 

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