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モスクワのモヤシそばと、チキン・キエフ

2022/03/05



食べたことがないが、食べてみたいものに「モスクワのモヤシそば」がある。

 

実は、そんなものが存在するのかどうかも知らないが、あるのだとしたら、食べてみたい。それが子ども時代からの夢だ。

 

「モスクワのモヤシそば」は、小学校低学年のある時に、テレビかラジオで放送された孫悟空の童話で耳にした言葉だ。孫悟空の一行が何かの怪物に殺されそうになった時、猪八戒が「死ぬ前に、一度で良いからモスクワのモヤシそばが食べたかった」と言った。単なるナンセンスだが、以来、僕の脳裏に「モスクワのモヤシそば」という言葉が刷りこまれてしまった。

 

もちろん、僕の空想の中だけの話だが、それはモヤシを始めとした具のたくさん入った、タンメンのようなものである。麺は、長崎ちゃんぽんのような、太くてブリッとした麺だ。そんなモヤシそばを、ロシア人がどんな風に作るかは分からないが、とにかく、そんなモヤシそばをこれまで50年以上想像し続けてきた。

 

僕は、モスクワには行ったことがない。でも、いつか冬のモスクワに行くことがあったら、中華料理店でもどこでも良いから、そういう濃厚でリッチなモヤシそばを、もうもうと湯気を立てながら食べてみたい。死ぬまでに絶対食べたい。



ある日の昼ごはん。インスタントラーメンにモヤシをのせたのと、牛肉とピーマン炒めの残り物
ある日の昼ごはん。インスタントラーメンにモヤシをのせたのと、牛肉とピーマン炒めの残り物

そんな妄想がこの頃浮かんで仕方がない。理由は、もちろんプーチンがウクライナに軍を送り込んで、しょうもない戦争を仕掛けているからだ。メルボルンには、東ヨーロッパ系の人たちがたくさんいる。チェコ、ポーランド、ロシア、ウクライナ、ジョージアなどなど。知人や友人にもたくさんいる。みんな気が気ではないだろう。

 

キエフと言う街の名前も、ニュースでやたら耳にするようになってしまった。きっと美しい街なのだろう。でも僕はキエフにも行ったことがない。こうなってしまうと行ったことがないことをとても悔やむ。

 

なぜなら、できればキエフで、本場の「チキン・キエフ」を食べてみたいからだ。メルボルンでは、ほぼどこの肉屋でも「チキン・キエフ」が売られている。これは、チキンカツのようなもので、中心にはバターとかハーブの詰め物とかが巻いてあり、とてもうまそうだ。(日本では「キエフ風チキンカツ」と呼ばれているようだ。)ただ、ウクライナやロシアに行くと、これはチキンキエフではなく、ミハイロフ・コトレータと呼ばれるようだ。

 

とにかく、僕はまだ「チキン・キエフ」を食べたことがない。でも、こちらはモスクワのモヤシそばとは違って、現存する食べ物だ。近所のスーパーの冷凍食品コーナーにだって置いてある。だから、食べようと思えば今夜にでも食べられる。

 

しかし、できれば冷凍食品なんかじゃなくて、キエフで、本当の「チキン・キエフ」を食べたい。どこかキエフの街角の古いレストランに入り、周りの人たちが、ウクライナ語でわぁわぁ話しているのを聞きながら、サクッとしたチキンカツにナイフを入れ、中からドロッとしたハーブの詰め物がバターとともに流れ出すのをフォークですくいとって食べるのだ。絶対食べたい。

 

だからとにかく、下らない独りよがりの戦争はやめてもらいたい。ここで「今すぐやめろ!」と、プーチンに言っておく。


うちの息子も、無意識だろうが黄色のシャツと青のパンツで、ウクライナを応援しながら昼飯を食べる。
うちの息子も、無意識だろうが黄色のシャツと青のパンツで、ウクライナを応援しながら昼飯を食べる。



 
 
 

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