メルボルンの地震
- 鉄太 渡辺
- Sep 26, 2021
- 4 min read
2021年9月26日
メルボルンには滅多に地震がないのですが、 先日マグニチュード5.9の地震があって驚きました。朝9時過ぎのことで、私はたまたま散歩に出ていて全く揺れに気がつきませんでした。なんだかちょっと残念でした。

(シャーブルックの森)

散歩から家に帰るとカミさんが、「今地震があったでしょ、分かった?」と言いました。冗談を言っているのかと思いましたが、ニュースを見ると大きく報道されていて嘘でないと分かりました。
オーストラリアは日本のように火山帯の上にはないので、滅多に地震はありません。でも、地殻はゆっくり動いているので、60年に一度くらいは大きな地震が起こることは避けられないそうです。私がオーストラリアへ来て25年経ちましたが、体感できる地震にあったのはこれで2度目なので、もう生きている間にオーストラリアで地震を体験することはないのかもしれません。

(ぼきりと折れている巨木)
以前オーストラリア人の友達に、「日本は地震がしょっちゅうあるのに、どうしてあんなにたくさん人が住んでいられるのか?」と聞かれたことがあります。素朴な疑問ですが、いくら地震が多くたって大地震が毎日くるわけではないのだから、人は住んでいるのだと答えました。それを言うならば、煙を吹き上げている火山の麓にだって人は住んでいるのだし、どうしてそんな場所に住んでいるのかと聞かれても困るでしょう。そもそも、火山の近くは土地が肥えているので農業をする人にはメリットがある訳です。現に桜島の大根は実に立派ですよね!
どんな場所にも人は住んでいます。が、やっぱり地震が怖いからとか、災害が多いから引っ越すと言う人はいます。特に甚大な被害に遭えば、もうその場所にはいたくなくなっても無理はありません。例えば、2011年の東北震災の後には、日本からオーストラリアへ移住してきた家族が結構たくさんいたようです。もともとオーストラリアへ引っ越そうと考えていた人が多く、震災がテコになって引っ越したと言うことらしいですが。また、同年のニュージーランドのクライストチャーチの大地震の後でも、メルボルンに引っ越してきた人に会ったことがあります。地震のせいでクライストチャーチの観光業が痛手を受け、仕事が無くなったからと言う理由だったと記憶していますが。
メルボルンにだって災害はあります。一番大きいのはブッシュファイヤーです。私は町外れに住んでいるのですが、毎年夏になると、どんなに少なくとも2、3回は火事警報が発令され、その度に避難の準備をします。2009年のブラックサタデーと呼ばれる大火事の時は、私の自宅近辺も燃え上がり、私の家族も数回避難しました。うちの向かいに以前住んでいた家族は、ブッシュファイヤーが怖いので、街中に引っ越しました。無理もありません。
今年6月には、私の暮らすダンデノン山では大風の被害がありました。このブログにも書きましたが、私の近所は五晩停電して、そのおかげでエンジン式の発電機を買う羽目になりました。もっと長く、2ヶ月も停電していた地域もあります。

(大風で倒れた巨木)

(通行禁止の札)

それでも時が経つと、我が家程度だと、被害のことなんかすぐに忘れ去ってしまいます。だから、昨日近くのシャーブルックの森に久しぶりに散歩に行ったら、6月の大風の被害がまだありありと残っていて、改めてびっくりしました。いつもはシャーブルックの滝まで片道2キロほどの森の小道を歩くのですが、途中から倒木だらけになって通行禁止になっていました。いつもいく滝は東南に面した稜線にあるのですが、そこら辺りはまるで巨人が斧を振るったように樹木がすっかりなぎ倒されていて、明るくなっていました。倒れている木は50メートル以上もあるユーカリの巨木なので、大風の時は、まるでこの世の終わりのような物凄い光景だっただろうなと恐ろしくなりました。ちょっと離れていただけで、こんな状況に居合わせないですんだことは全く幸いであるとしか言いようがありません。
今回のメルボルンの地震を体験し損なったのは少し残念でしたが、家が壊れたりして被害にあった人もいるのだし、そんなことを残念がるのは身勝手ですね。
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