ジーロンでテングダイを釣る
- 鉄太 渡辺
- Apr 11, 2021
- 5 min read
2021年4月12日

秋休み。何度か以前書いたブログにも登場してもらいましたが、ジーロンの釣り師K松さんに 「釣りに来ませんか?」と誘われたので、2ヶ月ぶりくらいで釣りをしに行きました。ジーロンまでは、メルボルンの東側の我が家からは西へ向かって車を飛ばして2時間ちょっと、距離にして130キロほどです。珍しく早起きして、早朝のプリンセスハイウェーをひた走りました。

2時間でジーロンの先のベラリン半島に到着。K松さんは地元なので、とっくにポイントに到着して自慢のフカセ釣りの竿を垂らしています。「何か釣れますか?」と尋ねると、「アジが少し釣れました」との答え。私も早速竿を垂れました。天気は、風もなく、夏みたいな青空が広がっています。今日は気温が30度まで上がる予定で、秋というよりは夏の気候です。遠くの浜辺では学校が休みの子供たちが遠浅の浜で泳いでいます。今年の夏は涼しかったので、今頃夏がやってきたみたいな気分。
「こんな晴れていると、逆に釣れないですねえ。ちょっと曇りくらいが一番いいですよ」とK松さん。私とK松さんは古い付き合いで、知り合ってもう15年ほど経つでしょうか。二人とも同じ頃に釣りを始めて、こうやって年に2、3度は一緒します。でも、今は腕はK松さんの方が数段上。私は、最初は休みと言えば息子としょっちゅう釣りに行っていたのですが、今18歳の息子は、父親とはちっとも行動しなくなり、釣りも年に一回か二回行くくらいになってしまいました。
一方、K松さんは勤めも住まいもジーロンの海の近く。休みになると毎日のように釣りに出ています。K松さんの家のフリーザーには釣った魚がびっしり詰まっています。釣り仲間もたくさんいて、しょっちゅう年季の入った釣り師たちと腕を競っているので、その腕は生半可ではありません。私は、今となってはそんなK松さんに誘ってもらえるだけで、大変ラッキーであると言う他ありません。
でも、釣れない時は釣れません。なかなか魚が掛からないので、私たちはいささかおしゃべりに夢中になっていました。すると、「お、なんかかかった!」と叫んで、小松さんが竿をあげます。釣りは、こう言う瞬間が応えられないんです。K松さんの竿の先には、何か丸っこい縞模様の魚が釣れました。「何ですかこれ?」と私が聞くと、「これはテングダイです。テングダイは、福岡の方にいる魚です」とK松さん。
福岡の魚がなぜメルボルンにいるのか?まさか日本から泳いできたわけじゃありませんが、実はメルボルン周辺には日本と同じような魚がたくさんいるのです。コチ、タイ、キス、カレイ、アジ、ボラ、カサゴなどなど。地球の反対なのに、不思議ですね。だから、そんな魚が釣れれば、全てお刺身、焼き魚、煮魚、干物などになって私たち日系人のお腹に入ってしまいます。
だんだん日も高くなってきて、あまり釣れなくなってきました。K松さんはそれでも小魚をたくさん釣り上げます。私も数匹釣りました。でも、小さすぎなので海に戻します。だんだん気温も暑くなってきたので、帰ることに。結局二人で、大き目のテングダイを3匹、メジナを1匹釣り上げてジーロンのK松さん宅へ戻りました。

その晩はK松さんの家に泊めてもらいました。晩のご馳走は、手巻き寿司です。刺身は今日釣ったテングダイとメジナ、それと前日に小松さんが釣ったタイ、アジのタタキと刺身など、刺身が何種類もある豪華な品揃いでした。いやあ、こんな贅沢な手巻き寿司は、滅多に食べられません。

翌日も、釣りに行きました。昨日とは別の桟橋です。ここは私は初めての場所です。天気は昨日よりは曇っていて寒いくらい。
細長い桟橋には、もう一組釣り師がいました。アジア系の人たちみたいです。釣りに多いのは、アジアでは中国系やベトナム系が多く、みんな釣りが上手です。ヨーロッパ系で釣りが上手なのは、ギリシャ系とイタリア系。ギリシャ系には女性の釣り師も多く、おじさんより上手だったりします。狙っている魚もみんなちょっとずつ違って、ギリシャ系はサヨリやキスが好きかも。中国系の人は、大きくて脂の乗った魚が好きなようで、シマアジなんか釣れると喜んでいます。(私もシマアジは大好き)。それから中国の人は、イカも好きみたい。日系の私たちは、アジなんか一番好きかも。でも、日本人は関西出身か関東出身かでも好みは違うので、言い出したらキリがないですね。釣れれば何でもいい、と言うのが私です。
で、二日目は何が釣れたかと言うと、私は大きなグラスホワイティング(キスの一種)を釣りました。これは、あまりおいしくないんですが、1匹は1匹です。小松さんはでかいボラを3匹釣りました。ボラなんかは日本では下魚と言われてあまり食べる人はいませんが、オーストラリアの新鮮なボラは、結構美味しいんです。こちらは水もきれいなので、冬の脂ののったヤツは刺身でもいけるし、衣をつけてフライにすると美味しい。ボラは釣るのも楽しくて、口が柔らかくてすぐ針が外れるし、かかるとファイトするので釣り上げるまでスリルがあります。
そんなで私たちは、釣果は大したことなかったですが、少しは釣れたので満足して帰宅しました。K松さんの感想は、「釣りは難しいってことが今日もわかりました」。K松さんは、釣る時はアジでもキスでも何十匹もあげちゃうスゴ腕ですが、釣れない時は、謙虚にこう言うことを述べるところが偉い。物事に上達するには、失敗から学ぶこと、謙虚になることと、できるだけ足を運んで経験を積むことも大事ですよね。釣りは奥が深いです。
私だってもう15年以上釣っていますが、K松さんとは違っていつまでも経ってもその入り口のところに立っているだけ。でも、それはそれで気楽でいいと自分では思っています。
秋休みはもう1週間あるので、もう一回くらいどこかへ釣りに行こうかな。
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