じゃがいもの記憶
- 鉄太 渡辺
- May 23, 2021
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2021年5月23日

ささやかですが、庭で畑をやっています。昨夏はロックダウンなんかあったし、夏の間は結構せっせと雑草を抜いたり、土をこねたりしました。そのおかげで豊作とまでは言えないにせよ、トマトとかネギとか、手がかからない野菜はたくさんできました。何にせよ、野菜が収穫できるのは嬉しいものです。




コロナではいろいろな被害がありましたが、幸い我が家はさほど甚大な影響は受けずに済みました。でも投資なんかしていた人はさぞ肝が冷えたことでしょう。オーストラリアは、以前はラッキーカントリーなどと呼ばれていましたが、一つには高金利の国だったこともあるでしょう。しかし近年ではみるみる下がって、もはやゼロに近いことになってしまいました。もはや投資の面ではあまりラッキーな国ではなくなってきているのかも。




畑を耕していて思いましたが、畑はお金よりもずっとレートが高い気がします。農業が仕事だったらまた話は別でしょうけど、趣味でやる分には、余計なお金は畑に使うべきです。私は今年トマトの苗を10株くらい植えましたが、苗は一株二百円くらいなので、10株だと2000円の投資です。それでどれくらいのトマトが穫れたかというと、多分50キロ以上か、もっと収穫があった気がします。だとすると、トマトが1キロ三百円だったとしても1万五千円の収入です。二千円投資して一万五千円、しかも、たかだか2、3ヶ月の間に。これはどんな金融商品よりも上でしょう。
ジャガイモも植えておいたのが、初冬の今収穫シーズンとなりました。その種芋はうちの娘からもらったものなので元手はゼロ。娘はシティで友達とシェアハウスに住んでいるのですが、その中の一人がコロナのロックダウンで田舎の実家に帰った時、アパートに食料を全部置いて帰ってしまったのだそうです。そしたらその友達がいない間に戸棚のジャガイモが芽を出してしまい、持て余した娘が我が家に持って帰ってきたという訳です。捨てるのももったいないし、余っている畑に私が埋めておいたのです。
そして、いよいよ収穫です。試しに芋畑の隅っこをちょっと掘ってみたら、20個ほどゴロゴロ出てきました。こんなにできるとは、畑全体で一体どれくらい取れることか!この冬我が家はジャガイモに困ることはないでしょう。肉ジャガ、ポテトフライ、ポテトサラダ、粉吹き芋、何でも来い! とても楽しみです。

泥だらけのジャガイモを掘り出していたら、亡くなった母のことを思い出しました。私の両親は二人とも都会育ちだったので、畑は得意ではありませんでした。でも、母は時々こんな風に庭の片隅にジャガイモを植えておくことがありました。その母は、56歳の時に病気で突然亡くなったのですが、病気で倒れる前にもジャガイモを植えていました。母が亡くなって、私たちはジャガイモのことなんかすっかり忘れていたのですが、1年くらいたったある時、ふと思い出して掘ってみたら、びっくりするくらいたくさん出てきて驚きました。まるで、母の思いそのものを掘り出したような気がして、私は亡くなってもまだ母が見守ってくれていることを確信しました。
庭の畑は、家族に美味しいものを食べさせたいという愛情の現れなのかもしれません。投資などになぞらえるのは、きっと大間違いなのでしょう。
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