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「散歩写真」を撮りに

2021年5月31日

 

この間、友達のRさんと写真やカメラのことについて話す機会がありました。Rさんは、写真やカメラに詳しいメルボルン在住の日本人の友達です。

 

現在はカメラよりも携帯で写真を写すのが普通なのかもしれませんが、私は携帯電話に移行するのが遅かったのと、前からカメラで撮らないと写真を撮った気分がしないので、今でもカメラを使い続けています。ただ、小さなコンパクトデジタル(すなわちコンデジ)を使っているので、いろいろな風に焦点を合わせたり、シャッタースピードを好きに変えたりできないので、最近は少し上のグレードのカメラに替えようかと考えています。そこで、カメラに詳しいRさんにアドヴァイスを求めた訳です。


 

で、どんなカメラが良いとかテクニカルなことはあえて書きませんが、Rさんに聞いたことで面白かったのが、「散歩写真」というジャンルのことでした。

 

Rさんは、ポートレイトや人物写真を撮らせたらとても上手なので、今もそういう写真ばかり写しているのだと思ったら、「いやいや、この頃は時間もないし、僕が撮っているのは散歩写真ばかりですよ」と言うのです。「散歩写真って、散歩の時に写す写真のこと?」と尋ねると、「そうですよ、散歩や買い物の時に、ついでにカメラを下げていって写す写真です。空がきれいなら空を、紅葉がきれいなら紅葉を写すだけ。昔は写真を写すために旅行したり、遠出をしたりもしたけど、今はそんな時間も余裕もないので、1時間の外出時にちょっとパチパチって写すだけ。写してもフィルム1ロール分、24枚だけです。」そうは言っても、今でもフィルムカメラってのが、またRさんの凄いところです。(ちなみにRさんのカメラはライカです。)



Rさんのレベルには、私はとても到達できませんが、散歩写真なら私が試みていることと全く同じ。そんなジャンルがあることに驚いたとともに、とても嬉しくなりました。常に家で書き物の仕事をしている私にとって、散歩は大事な日課、1日に一度、あるいは2度行くことも。そして、大概は愛用のキャノンのコンデジをポケットに入れて行きます。だから、私はすでに立派な散歩写真家だったのです。でもやっぱりコンデジだと、不満が高まるなあ…

 

そこで、「コンデジじゃなくて、もっといいカメラが欲しいんですよ。コンパクトで高性能なミラーレスとか」と、Rさんに伝えました。すると、Rさんはこんな風なことを。「いいカメラだと、もちろん綺麗に撮れますけどね。でも、グッと対象に近づいて、気持ちを込めて写すと、どんなカメラでも案外良い写真が撮れるんですよ。」奥の深い言葉に納得。

 

そこで散歩写真と言えども、もっと気持ちを込めて写真を撮ってみることにしました。ただ悲しいかな、現在メルボルンは、コロナ感染でクラスターが発生し、四回目のロックダウンに突入中、家から5キロ圏内から出られません。それでも私の家の近くにはシャーブルックの森という素晴らしい場所があります。「Stay Close, go further 近くでも、行けるところまで行ってみよう」がメルボルンでの合言葉です。



 そうです、制限がある時だからこそ、行けるところまで行き、やれるところまでやってみるのが大事。同様に、小さなコンデジでもきっと良い写真は撮れるはず。

 

さて、今日の散歩は夕方4時、光加減も斜光で、写真を写すには絶好の時間帯です。愛用のキャノンのコンデジをポケットに入れて私は森へいきました。少し違うアングルで、チャレンジングな写真を撮ってみるつもりです。



森を歩くと、木漏れ日が、野鳥が、キノコが、シダが、いろいろに染まった木の葉が、今日は普段よりももっと饒舌に話しかけてくるような気がします。しゃがんだり、背伸びしたり、あっちをみたり、こっちをみたりして、いろいろな写真を撮ってみました。

 

だんだん辺りも暗くなってきました。急いで家に帰ってコンピュータの大きな画面で撮ってきた写真を見ます。ああ悲しいかな、勢い込んで撮ったのに、良い写真は少ししかありません。しかし、しかしです、小さなコンデジでも、その気になれば、確かに少しはましな写真が撮れた気もします。


 

まあ、あまり欲張らずに、今日はこんなところにしておきましょう。それにしても、散歩写真と言う言葉一つで、私が表現できる世界が少し広がった気がします。古いコンパクトデジタルにも、もう少し頑張ってもらおうかなと思います。

 

友達のアドバイスには、こんな風に「宝物」が隠れているものです。ありがたいですよね。

 

Rさん、ありがとう!

 

(でも、ロックダウンが終わった途端にカメラ屋に駆けつけて、新しいカメラを買っちゃいそうな気もするなあ…)

 
 
 

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